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第165話
一人掛けのソファーの上に押し倒される格好で、俺はおーはらの身体を受け止める。
泣きつかれても、俺には訳が分からなくて・・・
「スミトの事とお前に何の関係が?俺だって遊びたい時もあるの。別に好きとか嫌いとか、そういう事じゃなくても・・・」
おーはらの顔が近づいて来るから、少しよけながら話すが、両方の頬を持たれると、また向きを正される。
「スミトって、同じ美容学校の生徒だったんですよ。最近会う機会があって、小金井さんの名前が出たからビックリしちゃった。」
「・・・あ、そうなの?!歳が違うのに同級生か?」
「専門は、一旦大学に入ってからやり直す人もいるんです。スミトも大学中退して来た口で。」
「ああ、そうか・・・」
俺はもう抵抗するのはやめにして、おーはらの気が済むようにしていいと思った。
何を言いたいのか、なんとなくは分かる。でも、スミトって子と遊ぶのと、おーはらを抱くのでは重さが違うような気がして。
「・・・で、そこからどうしてママに追い出されることに?」
「・・・・・・・・・それは、・・・・確かにスミトを連れ込んだのは事実だけど。・・・」
「なんだよ、お前もアイツと?」
俺はちょっと呆れたように言ってみた。
「違う!・・・悔しくて、・・・スミトが、普通に小金井さんに抱かれたのが悔しくて、別の男呼んで・・・アイツに酷い事しようとしてたんだ。そこにママが帰ってきちゃって・・、3Pするところと思ったみたいで。」
「は?...............なに、ソレ?!おーはら、お前ってヒドイ奴だな。犯そうとしてたって訳?........バカか。」
「だって、.......僕が小金井さんの所から出て行ったのも、全く気にしてくれないし、恋人作れとか、援助してやるとか・・・」
半分べそをかきながら話す姿は、ホントに子供だと思った。思い通りにならなくて駄々をこねる子供。しかも、俺と寝たスミトに嫉妬して、変な事を企むとか.......女より怖い。
「おーはら、落ち着け。・・・お前の事は可愛いと思ってる。嫌いじゃない。でもさ、歳が離れ過ぎているだろ?!それに、俺はもう桂以外の男とは付き合えないと思ってるんだ。あんな苦しい思いはしたくないしな。」
「小金井さん・・・」
もっと気楽に付き合えばいいのかもしれない。
でも、心にポッカリ開いた穴は、何を埋めても隙間から零れ落ちてしまうんだ。
詰め込んでも詰め込んでも、ぼろぼろと落ちて、また開いた穴の大きさを知るばかり・・・。
「そんなにスミトの事が羨ましかったのか?ちゃんと抱かれたいの?」
腹の上のおーはらを抱き寄せるように聞いた。そんなにまでして、俺なんかのどこを気にいってくれたんだろう・・・。
ただ、この先も同じような事があると、俺だって困る。おーはらの顔を覗きこむと、首を縦に振って頷いた。
チュッ...........と、鼻の頭にキスを落とすと、目を丸くするおーはらが可愛い。
俺はそのまま唇にもキスをしてやった。
何度も何度も啄ばむように.........
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