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第166話 *

 おーはらの肩を抱きしめたのはいつだったっけ............ そんなに遠い昔の事ではないのに、こうして俺の下で唇を噛みしめるおーはらを見るのは久しぶりな気がする。 .........ん......ふっ、............ 滑らかなビロードのような肌触りは、指の腹でヘソの周りに円を描く俺には心地良かった。 くすぐったいのか、時折腹筋がピクッと波打つとおーはらの分身も息をするように勃ち上がる。 「気持ちいいんだ.........?」 俺が片方の手を下に伸ばして聞くと、首だけでコクリと頷いて自分のモノを俺の手に擦りつけた。 「シて...................」 触ってほしいとばかりに、自分で押し付けると身体を揺らす。 ..........は、ぁ................ 俺は手を添えると、その上におーはらの手を乗せて自分でするようにヤらせた。 ン.............ぁ、...............はぁ、....... 徐々に息遣いも荒くなり、薄目を開けて俺を見る眼差しに色が付きだす。甘く潤んだ瞳には、桃色の桜の花びらを想わせるような儚げで静かな色気が漂う。 「おーはら................」そう呼ぶ俺に、「...........ジュン、って...............ジュンって呼んで.........」と懇願する。 「ジュン、.................」 そう呼びかけて、唇に蓋をするように覆いかぶさると、俺のモノも一緒に包んで扱いた。 は、っ..........................は、................ぁ、 先端から滴る蜜は、二人の腹を濡らしていくが、やがて息を止め顎を大きく反らしたおーはらが「ンンッ........」と呻くと、手の中にたぎる白濁を放出。 それでも尚、俺が扱き続けると、おーはらは顔を歪めた。 「も、.........ぁあッ、............ヤ........」 苦しそうに悶えるさまが、俺の脳裏に快感を呼び起こさせる。 と、俺も手の中に精を放った。 は、..........ぁ.............、 ベッドの上で仰向けになって、天井を見つめる俺の横で、おーはらはそっと胸に手を乗せてこちらを見ている。 「..........なんだ?」 向けられた視線が痛かったが、おーはらの顔は見ずに聞いた。 「............小金井さんは、...........桂さんって人の事を本当に愛してたんですね。」 「え?......」 そんな事を今この状況で聞くのかと思ったが、俺はおーはらの言葉に耳を傾けた。 「僕は、あの写真立ての中の、笑顔の桂さんを見るのが嫌でした。」 「は?........」 「桂さんの視線の先には、きっと満面の笑みを向ける小金井さんがいるんだと思って..........憎らしかった。」 そんな事を言われて、思わず顔を横に向けるとおーはらの頬をつねってやるが、「いたッ、....」と、肩をすくめて俺を見る。 目にしたおーはらの顔は悲しそうだった。 そんな事を思いながら、写真立ての前に置いた花瓶の花を変えてくれていたのか.........。 まったく気づきもしなかったよ......。俺は長い間、’嫉妬’なんて言葉は封印していた気がする。 そんな感情は、多分高校生の時に感じて以来忘れてしまっていた。 桂がくれる100パーセントの愛情に、俺も100パーセントで答えていたから..... 「ジュンは俺とどうなりたいの?」 つねった頬を指で撫でると聞いてみた。シミもホクロも無いスベスベの肌が少しだけ赤い。 「そんなの、.......僕は小金井さんに初めて会った時から好きになっていたんだ。少しでも近くに居たいと思うし、特別な存在になりたい.........、でも、ダメなのはわかっているんです。」 力なく発する言葉は、おーはらの深い闇に溶け込んでいく。何処かで、幸せになれない自分を分かっているような、そんなため息交じりの言葉。 「.........ダメかどうかは分からない。桂を忘れない事に変わりはないけど、お前の気持ちは嬉しいよ。」 「........ほんと?」 「ああ、..........嬉しい。」 「小金井さん、.............」 跳ねるように俺の胸に飛びつくと、おーはらは俺に口づけをした。

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