健診場所の保健センターに着くと既に10名程の子供達が保護者と一緒に待機していた。 程なくして、健診が始まり、身長・体重・虫歯の有無・視力聴力検査等を行なった。 朱里は全て以上無しと診断され、匠さんと俺はほっと胸を撫で下ろした。 そして最後に問診が有り、それで終わる筈だった。。 医師は、朱里に幾つか簡単な質問をした。 「今日は誰と一緒に来たのかな？」 『パパ、ちぃちゃん。』 「どうやって来たのかな？」 『パパ、ちぃちゃん。』 「朱里ちゃんは、今、何歳？」 『。。。』 朱里は何も答えずに、指で3と表現した。 「朱里ちゃんのお名前は？」 『しゅり。。』 「苗字は？」 『しゅり。。』 「うん。分かったよ。じゃあ、先生はパパとお兄さんと少しお話があるから、朱里ちゃんはみんなと遊んでてね。」 『うん！』 朱里は嬉しそうにオモチャで遊んでいる子供達の元へと走っていった。 医者は匠の方を向き、話し始めた。 「お父さん。朱里ちゃんの様子で何か他のお子さんと違うなとお感じになられた事はありますか？」 『違うところですか？。。そうですね、特に思い浮かびませんが、強いて言えば、他のお子さんより少し話すのが上手では無い気がします。』 「そうですか。。」 『あっ。食事の時に頂きますを何度教えても、うなうなう。って言ったりしてますね。後は。。単語だけしか言わない時も有ります。でもまだ3歳だから、それぐらい普通ですよね？』 俺は2人の会話を聞きながら、医師の微妙な表情に不安を感じた。 匠はそれに気が付いていない。 「お父さん。朱里ちゃんの掛かりつけの病院をご存知ですか？」 『はい。白川小児科医院です。』 「白川小児科医院ですか。あの病院でしたら、週に一度、臨床発達心理士の方がみえていますので、あちらで一度、娘さんの発達検査を行ってみて下さい。」 2人は臨床発達心理士、発達検査、初めて耳する言葉に戸惑った。 『。。え？先生、それはどうゆう意味ですか？』 匠は、医師に尋ねた。 「まだ確かでは有りませんが、お子さんは言語発達障害の疑いが有ります。ご家族と相談されて早い内に検査をされた方が良いかと思います。」