『言語発達障害。。ですか？』 「はい。只、私は言語発達の知識が専門家よりも詳しい訳では無いので、現段階では疑いがあるとしかお伝えする事が出来ません。」 『そう。。ですか。。』 「今調べてみたところ、午後に白川小児医院に臨床発達心理士の方がお見えになるようです。」 『はい。。』 「もし、今日行かれるようでしたら、私から病院の方へ連絡を入れておきますが。。どうなさいますか？」 『はい。。ではよろしくお願いします。』 匠は思ってもみなかった話に呆然としながらも医師に頭を下げた。 匠の表情を見て医師が言葉を続けた。 「お父さん。まだそうと決まった訳ではありません。医師の私が不確かな物言いはしたくはありませんが、もし、、もしもそうだとしてもご家族の皆さんが朱里ちゃんの成長を理解し、支えて頂きたいと思います。」 「私では、お力になれる事は限られているかもしれませんが、何か有りましたら此方までご連絡下さい。」 そう言って医師は自分の名前とプライベートの携帯電話の番号が書かれたメモを匠に手渡した。 匠と千景は、メモを見てその医師の名前が遠藤だとその時初めて知った。 遠藤の表情には自分達に対しての同情や社交辞令は全く感じられず、彼の暖かい声掛けに、匠と千景は落ち着きを取り戻す事が出来た。 『遠藤先生。ありがとうございます。』 匠と千景は医師にもう一度頭を下げ、朱里の元へと向かった。 朱里は2人に気が付くと、 「パパ！ちぃちゃん！」 楽しそうな笑顔で2人に手招きをした。 匠の肩が震えていた。 千景は匠の隣に立ち、何も言わず、そっと彼の手を握りしめた。 千景は心の中で、匠に語りかけた。 貴方を独りきりにさせない。 俺が傍に居るから。。と 朱里の希望で昼食はファストフード店で済ませる事にした。 オモチャ付きのセットメニューで彼女はご機嫌だ。 『ほら、朱里頂きますは？』 「うなうなう！」 『。。。どうぞ召し上がれ。』 大好きなポテトを口一杯にほうばり、満足気な表情を浮かべる娘を匠は優しい目で見守っていた。 千景は、そんな親子の姿を見て胸が苦しくなった。 堪らず、朱里に気取られない様テーブルの下で彼の手を取り、自身の手で包み込んだ。。 昼食を取り終えて、発達検査を受ける為、白川小児科医院へと車を走らせた。 検査は30分程で終わり、間なしに検査結果を告げられた。。