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私の両親④
「智裕。」
「何?」
「私夕飯遅くなっても大丈夫だから、先にパパ食べちゃっても良いよ。」
「………茉莉、お前良い娘だな。」
「次の遠征のお土産は牛タンでいいよ。」
「覚えておこう。」
私と智裕はがっちりと握手を交わした。
私は非常食用にキッチンの戸棚から栄養バーを2本持って、自室へ戻る。
すれ違いでダイニングに大荷物を抱えてほっぺを真っ赤にしたパパが入ってきた。控えめに言って可愛い。
石蕗拓海、今年で40歳。私の本当の父なのだが、身長は私より少しあるくらいで細い身体をしている。顔も女の私が羨むくらいに小さくて目もぱっちりして美人。たまに一緒に街を歩くと、彼のほうがナンパされることがある。
しっかり者だけど本当は甘えん坊さんで、私が高校生になってからは私にも可愛く甘えてくる。たまんねぇ。
そして何より私が好きなパパの顔は、恋をしているトロトロな顔。
「パパ、おかえり。」
「まーちゃん、ただいま。あれ?お部屋戻るの?」
「うん、課題多いから早めにやっちゃおうかなって、ね、智裕。」
「お、おう、夕飯できたら呼ぶから。」
「よろしくねー。」
私と智裕はアイコンタクトを取って、健闘を祈った。
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