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親友とその父⑤

 私もテレビを見ると、肩を庇いながらマウンドでうずくまっている投手の元にキャッチャーやコーチみたいな人がわらわらと集まりだした。そしてカバンを抱えて駆けてくる人、その人は茉莉のもう1人の父親だった。 「うーわ、痛そー。」 「こりゃ交代かなー、智裕がなんか肩抱えだしたもん。」 「…智裕くん、かっこいい……。」  パパさん、めっちゃ目ぇキラキラしてる。いや、今マジでヤバい場面だからね。この中継見てる全国のスピンズファンは戦々恐々としてるからね。目を輝かせてるの貴方だけですよ。可愛いけど。 『トレーナーが手当てをしてますが、どうでしょうか。』 『今は大事な時期なのでね、しかしトラブルですから後続も準備出来てないでしょう…。』 『あーやはりベンチが動きだしました、投手交代のようです。弥栄(やさか)仁紀(ヒトキ)、ここでマウンドを降ります。』  智裕さんが支えている投手は、あまり野球に詳しくない私でも知っている弥栄仁紀という選手。その人を茉莉はかーなり敵視している。だが、プロ野球観戦が大好きな茉莉は今の場面を真剣に見入っていた。 「気に入らない人だけど…今季はこの人を大事にしないとだしなぁ…。」 「あー、この人だよね茉莉が超敵視してる人。」 「人間としてはクズだけど投手としては一流だからね。」  茉莉の「クズ」基準は、「パパの幸せを脅かす不届き者」だからね。  まぁ、弥栄投手の智裕さんのお尻を撫でる過剰なスキンシップがそれを物語っていますけど。

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