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親友とその父⑦
翌朝、私はいつものように茉莉と登校するために石蕗家に向かった。
「今日は夕飯俺が作っとくから、急がなくても大丈夫だよ。」
「せっかくのお休みなのにごめんね。」
「いいよ、また週末から遠征だし…ね?じゃ、行ってらっしゃい、拓海さん。」
「うん、行ってきます。」
玄関の前で少し大柄の男性と朝から美しいパパさんがやり取りをしていた。
そしてパパさんが一歩だけ道に出た時だった。
「拓海さん、忘れ物!」
「え?」
チュッ
初めて見たわー…玄関先で行ってきますのチューってやつを。パパさん嬉しそー。
私が「ははは」と引きつった笑みを浮かべていたら、見送った方の男性が私に気がついた。
「和、おはよー。」
「おはよーございます、朝からラブラブっすね。」
「あ、見られてた?」
「絶対見られますよ。」
「だって拓海さん可愛いんだもん。」
「気持ちはわかります。」
朝から濃厚な惚気オーラに当てられたところで玄関から茉莉が出てきた。
「和、おはー。智裕、今日夕飯なにー?」
「あー?そんなのまだ決めてねーよ。」
「昨日カレーうどんだったから今日は中華な気分かも♪」
「はいはい、考えときますって。しっかり勉強してこい。」
「智裕に言われたくねー!行ってきまーす!」
茉莉と一緒に学校に向かって歩き出す。
「ほんと、あんたの両親ってラブラブね。」
「だってパパが可愛いんだもーん。」
「デスヨネー。」
これが私の親友の家族。
特記事項は「両親が異常にラブラブなところ」と訂正しておこう。
「親友とその父」 end
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