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パパの心配事⑦

 その後、夕飯は私とパパで隣り合った。 「はい、パパ、あーん♡」 「あー……ん。」 「おいし?」 「うん、美味しいよ。」  その光景を歯ぎしりしながら向かいに座る男が眺めていた。 「茉莉ぃ…俺明日移動日なんだけどぉ……。」 「え?知らない。だって今日泣かしちゃったの私だし、私がパパをケアするのは当然でしょ?」 「おいおいおいおい!独占禁止条約はどうした!さっきから何時間お前が拓海さんを独占してんだ!」 「うるさいヘタレトレーナー!」 「あんだと⁉︎」  ガタンッ  私と智裕の間は火花バチバチになってパパ争奪のゴングが鳴った。 「明日は独占出来るだろーがー。」 「ここ1週間ホームゲームでずっと帰宅出来てたじゃん?ずーーーーっとイチャイチャしてたよね?いいんじゃない?状況に応じて…ああ、ジジイは若者と違って順応力がないんでしたっけ?失礼www」 「おい、33歳をジジイ扱いすんじゃねーよ。まだ現役世代だ!」 「そのプヨプヨしたお腹がオッサンの証拠よ!」  獣がメスの取り合いをするように威嚇し合う。 「あの…2人とも…け、喧嘩はやめなさーい!

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