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運命の出会い

「1日目で、ここはないだろ!?」 少し大きな声で叫んでしまったためか、一斉に視線が集まってきた。その視線から逃げるように、コソコソと歩く。歩いていって人がいなくなった所で、海星は立ち止まった。 そもそも、今海星がいるのは大きなショッピングモール。もちろん女装をしてだ。 罰ゲームの内容は、イケメンな彼氏を作ること。そしたら、出会いを求めて行くならここだろうと友人Aに連れてこられたのだ。友人Aは、海星をショッピングモールの駐車場に降ろすと、そそくさと帰っていった。 「ほんともう帰りてーよ」 もしここで自分が男とバレて、気持ち悪がられたりしたらと思うと、海星は泣きたくなった。男とバレないように、体型を隠す感じの女性物の服を着ているが、バレないという確証はない。 うん。今日はイケメンはいなかったと嘘をついて、ここから出よう。タクシーを捕まえて、家に帰ろう。 そう決めて歩き出そうとした時だ。 「うわっ!」 「っと、」 振り向いた瞬間、海星は誰かとぶつかった。ヤバイ、謝らないとと思い顔をあげて言葉をなくした。 「君、大丈夫?」 「は、はい」 海星が言葉をなくすのも、つまらせるのも無理はなかった。何せ、それはもう美しい人だったからだ。これが美形!というような感じで。 瞳は鋭く細いのに、目尻が少し垂れ下がっていてほんわかとした優しさを感じる。鼻もシュッとしてて、唇もふっくらとしている。真っ黒い髪は、艶々していて。そして何より、背が高くて体格もいい。 とにかく、海星がぶつかったのは男から見てもパーフェクトと感じる男性だったのだ。 「よかった。どこも怪我をしてないようで」 「えっと、あの、」 「じゃあこれで、」 男性が、海星から離れようとした時だ。無意識に海星は、男性を引き留めていた。 「あの!もしよかったら、その、あ、の、」 「……………僕と一緒に、お茶でもどうですか?ちょうどこのショッピングモールに、僕の行きつけのカフェがあるんです」 「あ、」 「君の時間がよければ、一緒にどうですか?」 海星が誘おうとしたのを感じてくれたのか、男性の方から誘ってきた。それを迷わず了承する。 早く帰ろうと思っていたのに、海星は自分からお茶に誘おうとするし、迷わず男性の誘いを了承するし。 とにかく、この男性との出会いが、海星の平凡女装男子としての運命を大きく変えることとなるのだ。

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