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これから
「………海星。お前、また女性になる方法検索してるぞ」
海星のスマホを覗き込んできた友人Aが、ほんの少しだけ呆れたようにため息をつく。どこかにトリップしていたらしい海星は、友人Aのため息を聞いてハッと現実世界に戻ってきた。
そして、自分のスマホでの検索画面を見て大声を上げそうになる。
「………ヤバイ、俺。そろそろ本気でヤバイかも」
「おぉ。それほど、あれか。かっこよかったのか?」
「ん。ほんとさ、かっこよくて。昨日も一緒に晩ご飯を食べに行ったんだけど、俺で過ごしやすいように、ファミレス行ってくれて」
「かっこいい+優しいんだな」
「そうなんだよ」
海星は、謙紫にメロメロだった。
毎日は会わないが、会う約束をした日には友人Aの姉の力を借りて女装するぐらいだ。謙紫との付き合いを提供してくれるのであれば、服代メイク代はタダと契約するぐらい、友人Aの姉も楽しんでいる。
謙紫と過ごせて楽しい。いつも自分を優先してくれるし、ベッドの誘いもあったことはあるが海星が怖いと言えば無理強いはしなかった。
それがちょっとだけ、海星の心に傷を作るのは気づかないフリをした。
「まぁ、罰ゲーム考えた俺が言うのも何だけど。どうすんの?」
「あ、えっと、」
「ずっと隠すのは無理があるし。別れるのが1番いいかもだけど、海星が本気なら本当のこと伝えたら」
友人Aの言葉はもっともだ。海星が、謙紫に性別を隠し通すのは不可能である。いつかバレる。バレたらきっと、謙紫との関係はそこで終わりだ。
バレる前に別れるか、それとも自分でばらして一緒にいたいと願うか。
「俺は、海星の味方だからさ。自分のせいでこうなったって思ってるけど。女性になりたいのなら、それを引き留めたりはしないけど。でも、しっかり考えろよ」
「うん。しっかりと考える」
まだどうするか、自分の中で明確に決まったわけではない。
これからも謙紫とずっと一緒にいたい。
この気持ちだけは、偽りのない海星の本当の気持ちなのだ。
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