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第7話(リデル目線)
(まあ、自分の子供を心配するだけマシだけど……)
中には、自分の子供を捨ててしまう親もいる。
実際、ジェームズもアビーも捨て子だった。山に捨てられていたところを偶然リデルが見つけ、拾って育てたのだ。教育がよかったのかどうか知らないが、今のところ二人共いい子に育ってくれている。
とはいえ、ジェームズのように成人しても自分の元に居座り、あまつさえ「魔法使いになりたい」と訴えてくる人間は稀だった。
人間にとって魔法使いなど、所詮得体の知れない化け物でしかない。
自分はどんどん成長するのに、何年経っても外見が変わらない生き物と一緒に暮らすのは、うっすらとした不気味さを感じるものなのだ。
ジェームズやアビーの前にも何人か捨て子を育てたことがあるが、今までの子供たちは成人したらすぐにリデルの元を離れていた。むしろそうであるべきだとリデルは考えていた。恩知らずだとは全く思わなかった。
だけどジェームズは……。
(……魔法使いにしてもいいんだろうか)
ずっと迷っていた。ジェームズはまだ魔法使いがどのような扱いをされるか知らない。恩を徒で返されることなど日常茶飯事だ。それで心が折れてしまったとしても、一度魔法使いになったら人間に戻ることはできない。
でも自分で決めたことなら、これ以上拒むのもいかがなものか……とも思っている。
「あのー、すみません。ちょっと占って欲しいことがあるんスけど……」
今度は年頃と思われる青年がやってきた。雰囲気が少しジェームズに似ていた。
「おや、何を占って欲しいのかな」
「ええと、その……明日の運勢とか、そういうヤツを……」
「ふふ、なるほどね。じゃあここに座ってくれるかな」
テーブルに向かい合って座り、占いの準備をする。
青年が依頼してきたのは、この先の未来のことだった。もっと言えば、「好きな人と添い遂げられるかどうか」だった。年頃の青年らしい可愛い依頼である。
(私も、そろそろ腹を括らないといけないか……)
占い用のタロットカードを切りながら、リデルも少しずつ覚悟を決めつつあった。
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