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第6話

ヤケクソで訪れたバー。店員も客も皆、男。 ネットで調べた。いわゆる男同士の出会いの場。 …………俺もワンナイト位してやる。 緊張して待つけど誰からも声をかけられない。 ナンパしてくれる人なんていないか…… コト…… 落ち込んでたら目の前にカクテルが置かれる。…………頼んでないけど。 「アイ オープナーです。 あちらのお客様から……」 振り向くと恐ろしい位、顔の整ったスーツの男と目が合う。 ……なんだろう。妙な違和感。 何処かで見た事があるような。 「このカクテル、『運命の出会い』って意味があるんですよ。」 マスターが小声で教えてくれた。 気障(キザ)! カクテルで口説かれるとか。 カタ…… その男は立ち上がり、俺の隣に立った。 ……あ!? 全然雰囲気違うけど…… 振られた日、海で会った人だ!! ビックリした。こんな偶然あるんだ。 スーツだと別人!すぐに分からなかった…… フワ…… 懐かしい甘い香りは大好きだった人と同じもの。 …………もう、どうでもいいか。 「一緒に飲まない?」 「……いいよ。」 「何、飲んでたの?」 「ビール。」 「カクテル、苦手?」 「あまりバーに来たことなくて。」 「じゃ、お勧めのを頼んであげるよ。」 「マスター。スクリュードライバーを。 ウォッカをオレンジで割ってるから飲みやすいよ」 勧められるままにカクテルを飲み干す。 スクリュードライバーの意味は映画で見たから知ってる。 『あなたに心を奪われた』 実はアルコールには強いんだ。 ちょっとやそっとじゃ酔ったりしない。 「カシスソーダも美味しいから飲んで。」 トイレに行った隙にコッソリ調べた。 勧められた酒の意味。 カシスソーダ『あなたは魅力的』 キール『最高のめぐりあい』 アフィニティ『触れ合いたい』

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