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第7話

「あれから連絡くれなくて寂しかったよ。」 よく言う。 「君の泣いてる顔ばかり思い出してた。」 嘘ばっかり…… 自分で断ち切る方法が分からない。 『好き』って気持ちは簡単に無くならなくて、毎日俺を苦しめる。 「髪サラサラだね。海で濡れてたのもセクシーで悪くなかったけど。」 急に触れられた髪。 なぞるように触れられて体がゾワッとなった。 「うちで飲み直さない?」 最後に差し出されたカクテルはアキダクト。 さっき調べたから意味は知ってる。 『時の流れに身を任せて』 つまり、ワンナイトのお誘い。 「……うん」 安っぽい誘いに乗ったのはこれが初めて。 忘れさせてくれるなら誰でもいい。 もう毎晩のように瑛人が夢に出てきて困ってるんだ。 その晩。 初めて瑛人以外の男と寝た。 名前も知らないよく分からない男は意外と優しくて余計泣けてきた。 「泣かないで。」 「ん、ぁ……泣いてない……」 「ホラ。ギュッとしてあげるから。」 「ヤッ!ぅアッ!……っ」 「声、エロ……」 「んっ……エロくな……ァあ、っ……」 「ねぇ。名前は?」 「歩。」 「俺は葉月。歩。名前呼んでくれる?」 「……葉月。」 「もっと。」 「ん、はぁ……葉月……」 「可愛い……歩……」 キスが違う。 触れ方が違う。 …………似てるけど声も香りも違う。 瑛人。お前が好きだった…… よく知らない男に抱かれながら心の中で呟いた俺は最低だな。 男は俺を何度も抱いた。 甘く優しく……

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