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第8話

「アッ!やだっ! そんな奥まで……っあ!」 優しいキス。 繋がれた手。 時折、撫でられる頬。 甘い抱擁。 男は恋人にするみたいに俺を抱く。 「それって煽ってんの?」 「んぁ!も……やめ……!」 「嘘つき。蕩けそうな顔しちゃって」 「あ!あ!っ……!」 激しく奥まで攻められて、思考回路がまともに働かない。 無理って言ってるのにSかよ。この野郎……! 目を覚ましたら朝だった。 隣には何も着てない色男。 快感で失神したのは初めて。 体、綺麗になってる…… 一気に昨日のことを思い出す。 意外と簡単なんだな。一線超えるのなんて。 好きでもない男に抱かれて良くなったりして、本当にどうしようもない。 馬鹿みたいかもしれないけど、セックスは本当に好きな人とだけだって思ってた。 ムク…… 起き上がり一人先にベットから降りる。 きっと、もう会う事はない。 ベットボードにホテル代を置いて、部屋を出た。 ジワ…… 目頭が熱くなる。 なんの涙か分からない。 だけど、なんだか泣けてきた。 俺も現実に戻らなくちゃ…… 少しずつでいいから瑛人を忘れて。 前に進みたい。

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