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高校3年の夏休み、友達と沖縄へ行った。いや、友達と云うには語弊がある。確かに彼からすれば僕は友達だったが、僕からすると彼は片想いの相手だった。
日が暮れるまで観光し、夜になって海に向かった。彼は夜の海が好きだったのだ。
天には燦然と輝く星々、地は夜光虫かウミホタルかの群れで真っ青に光り、ふたつの海の幻想的な景色を好きな人と見た僕の心は、のぼせ上がっていたのだと思う。彼に告白した。
当然彼は戸惑い、黙って海を眺めていたが、暫くして口を開いた。
初めてだった。好きな人に想いを伝えたのも、キスも。
夢のようだと思った。だけど、その後に彼の口から出た言葉は、僕に、残酷な現実と絶望を突きつける。
「気持ち悪い」
手の甲で口を拭い、去っていく背中を呼び止めることも追いかけることもできず、僕はただ、青い光が滲む海を眺めていた。
以来、彼とは友達ですらなくなった。
岡嶋曰く石橋を叩いて渡らない僕が、石橋を叩かず渡った為に、崩壊した橋から真っ逆さまに落ちてしまった、よくある青春の失敗だ。
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