4 / 17

4

 翌日、寝ぼけ眼(まなこ)だった中、俺はずっと宮川を目で追っていた。話しかけることが出来ない雰囲気を醸されて、あんなに近くに宮川を見たのは夢だったのではないかと思う。 「宮川って(ち)……何(なん)考えてん(ちょる)の(ん)かな…。」  ボソッと口に出た本音を拾う友達はケタケタと笑った。 「分かるわけねーよ(やん)。あいつ、ホモだ(や)し。」 「何でホモって(ち)思うの(ん)?」 「他の(ん)クラスの(ん)奴が、宮川と地理の五島(ごしま)が車の(ん)中でキスし(し)てた(ちょる)の(ん)見たって(ち)言っ(いい)て(よっ)た(た)ぞ(ばい)。」 「地理の…五島……。」  五島って1年の地理を担当していて、うちの高校の教職員の中では事務のお姉さんの次に若い27歳の男。顔もスタイルもそこそこよくて、こちらも女子におモテになる。  そんな女に不自由しそうにない奴が、何で宮川なんかと。それは宮川が態々(ワザワザ)あんな場所で涙を流していたことと関係するのだろうか。  俺には関係ないはずなのに。  生温い夜風、虫の声、月明かり、星、宮川の涙。  どうしてだか胸の奥からチクチクと刺さる。  その日を超えて、午前1時。俺はお気に入りの藍坊主の「soda」を持って家を抜け出した。  今日はほんの10分だけ、俺が星空を独り占め出来た。

ともだちにシェアしよう!