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 1学期の終業式の日、昼から夕方まで友達数人とバイパス沿いのカラオケで遊んでいた。小腹が空いたから近くのファストフード店に向かう途中、信号待ちの車に乗っている宮川と地理の五島を見かけた。  助手席の宮川は俺に気がついて、ハッと気まずい顔をする。五島は気づいていないのか、宮川の黒くてサラサラな髪を撫でていた。  ガラス越しでも分かる、甘い雰囲気が、俺にとって切ない。  ツキン ズキン ズキン  心臓が痛い。押し潰されて泣きそうだ。 「穴井、どう(どげん)した?」  気にかけた友人の声で俺は正気に戻った。そして五島の車が俺たちの前を過ぎていく。  エンジン、(セミ)の鳴き声、ジリジリと皮膚が()ける音。そして、俺を見る宮川の悲しい眼。  瞬間がスローモーションで過ぎていく。  行くなよ、宮川。  呟く声は、夏の慌ただしい夕暮れに掻き消された。

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