8 / 17

8

 どうしてだろうか。  俺は10cmくらい背の高い宮川を包み込んであげたくなっていた。 「……宮川、は…(なん)も悪くねぇし。」  それは、この熱帯夜の仕業だと。  俺は未だに言い訳にしている。  宮川の涙は、また夜空の下で輝いていて、とても綺麗だった。 「宮川を捨てた奴()為に宮川が泣く()は変()()思う。」  どうすれば、宮川が笑っていてくれるのか、わからない。  だから、直接、言葉にするしかなかった。 「宮川()こと(こつ)あんま知らない()けど、俺は宮川にちゃんと笑って欲しい、って()思う。」  俺が懸命にそう言えば、宮川は口元で微笑んだ。 「今日は何の曲聞い(ちょ)(った)()?」  俺はその問いに、また律儀に答えた。 「ELLEGARDEN(エルレガーデン)って(っち)バンド。」 「また今度、貸して。」  俺が宮川にそのCDを渡すことはなかった。  貸した藍坊主のアルバムは、宮川に貸したまま。  宮川があの場所にいたことは、夢なんじゃないかって思うときもあるけど、夏が来る度にリアルに蘇る全ての感触で、本当だったんだと。

ともだちにシェアしよう!