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「君の為に僕が用意したのさ。随分と苦心したが良い出来栄えとは思わないかい?」  僕は頬を緩め、マッチで起こした火で蝋燭を灯していく。朱色の光が辺りを照らし出し、僕は蔵の扉を静かに閉める。  周囲が蝋燭の光だけで少々心もとないが、これから行う遊戯には好都合だ。  微かに体を震わせ唇を噛みしめる天宮くんは、少しばかし青ざめているようにも見える。 「寒いかい?」 「……いいえ」  僕は天宮くんに近づき、蝋の様に白く滑らかな頬に手を添える。 「……っ」  警戒の滲む目の色をした天宮くんは、少し体を強張らせた。久方ぶりに触れた天宮くんの肌の艶やかさに、僕はうっとりとする。 「ああ。君は本当に美しいね。僕はこの日が待ち遠しくて仕方がなかったのだ。君もそうだろう?」  何も答えない天宮くんの唇を、僕は喰むように唇を合わせていく。柔らかな唇の感触に、抑えきれない熱が湧き上がってしまう。片手を天宮くんの顎に、もう片手を腰に回し体を寄せる。 「ふっ……んっ……」  舌を唇の間に差入れると、舌を捕らえようと口腔を探る。遠慮がちな天宮くんの甘味な舌を絡み合わせれば、苦しげな息遣いが蔵の中を満たしていく。その扇情的で閉鎖的な空間は、やはりあの場では味わえなかっただろう。  唇を離し、濡れた瞳の天宮くんを寝台に腰掛けさせると、僕は持ってきていた手ぬぐいで天宮くんの目元を優しく覆っていく。 「何を始めるのです?」 「今までにしたことのない、取って置きの遊戯さ。君もきっと気に入る。だから良いと言うまで動いちゃ駄目だからね」  子供に諭すように僕は述べると、天宮くんの浴衣の帯を外していく。着物を脱がすと天宮くんの白い肌が、蝋燭の淡い光に晒され艷やかに影を落とす。天宮くんは屈辱に耐え忍ぶように、唇を噛み締めた。 「そんなに怯えることはないし、恥じることもないのだよ。君の体を僕は既に知り尽くしているのだからね」  寝台の下から隠しておいた縄を取り出すと、天宮くんを押し倒す。僕はその上に馬乗りになると、寝台の頭の部分に上げさせた天宮くんの両腕を縄で縛り付けていく。 「な、何をするんですか!!」  流石の天宮くんも耐えられなくなったようで、抗議の声を上げた。 「君は縛られるのが好きではないか。別段、問題はないだろ。さっきも言ったが、別に置き去りにするつもりもない。僕がそんな危険を犯すように、君は見えるのかい?」  天宮くんの抵抗が止まるも、信用はしていないと噛み締めた唇が示していた。 「君だって普通に飽き飽きして、遊戯を始めたのだろう? 此処を縛ったりして――」  天宮くんの雄を優しく撫でるも、天宮くんの恐怖を示すかのように縮こまっていた。

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