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「怯えているのかい? 確かに無理はないね」
僕は頬に手をやり、今度はゆっくりと唇を重ねていく。唇を噛み締めていたせいか、ほんのりと鉄のような味が口の中に広がる。
緊張を解きほぐすように天宮くんの唇を宥めるように舌を這わせ、滑らかな脇腹を擦る。
「ふっ……はぁっ……」
微かに溢れる吐息を奪うように舌を差入れ、指先で天宮くんの胸の突起を優しく撫でる。
「んぅ……っ……」
天宮くんの体が小さく跳ね上がる。僕は舌を滑らせ首筋から鎖骨にかけて所有物の証をつけ、辿り着いた胸の突起にしゃぶりつく。
「あっ、あっ、い、いやぁ……」
天宮くんは嬌声を上げながら身を捩ろうとするも、両腕を縛られていては思うように身動きが取れないようだった。
「そんなに暴れると、手首に濃く痕が残ってしまうよ」
僕は顔を上げて囁くと、天宮くんは荒い息遣いで「でも……」と言葉を零す。
「でもなんだい? もうこんなに昂ぶらせて、糸まで引いているじゃないか。さっきまで、あんなに隠れていたのに」
天宮くんの雄はすっかり隆起し、先端をヒク付かせていた。指先で撫でれば透明の液体が蜘蛛の糸の如く、細い糸を作る。
「あっ……」
「こっちも、いつものように縛ってあげよう」
僕は懐から麻紐を取り出し、すっかり濡れている雄の根本を縛り上げる。
「ああああっ――」
少し強かったのか、天宮くんが背を反らせ藻掻く。それでも雄は一向に衰える様子もなく、それどころか興奮を示すかの如く、赤みが増していた。
「最近は一人での遊戯は、していなかったのかい?」
ヒクヒクと震える雄を優しく擦りながら問いかける。
「はぁ、あっ……し、してないっ……です」
震える声音で否定を述べると唇の端から唾液を零し、荒い息遣いで胸を上下させている。
「なるほど。だからこんなにも、歓喜しているのだね。君の体は実に素直だ」
「あっ……ち、ちがいます……」
「天宮くんも見習って、少しは口述も素直になり給え」
呆れたように僕が言葉を吐き出すと、背後から光が差し込み外からの空気が蝋燭の火を揺らす。
来客に気づいた僕は顔だけ振り返ると唇に人差し指を当て、立ち尽くす間抜け面の男を牽制する。
牽制の必要はなかったのか、異様な物でも見たという顔で鎌頼 が呆然として微動だにしない。
僕は寝台から降りると、蔵の入口に近づく。立ち尽くす鎌頼の背を押し、蔵の扉を静かに閉める。再び闇が覆いかぶさり、淡い蝋燭の火が幻惑的な雰囲気を醸し出す。
「お、おいっ……これは一体……」
鎌頼が口を開いた事で、天宮くんが「えっ……」と声を上げた。馬鹿な男のせいで早々にして天宮くんに気づかれてしまい、僕は失望の念にかられ呆れた視線を鎌頼に向ける。
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