「んっ……ふ、ぁ……っ」 　ベッドに仰向けられた狭山は、相沢によって一糸纏わぬ姿とされ、キスのうちに形を変えた自身を攻め立てられる。 「狭山、先走りすげえ……。興奮してるんだ？」 　先程までは狭山を抱くことに躊躇いを見せていた相沢も、狭山をベッドに押し倒すと、スイッチが入ったように“男”になった。耳許で淫らな言葉を囁かれ、狭山はぞくぞくとした快感に身体を震わせる。 「ほら、後ろも弄ってやる」 「あ、っ」 　もう少しで達せそうな所で手を離され、物欲しそうにひくついた場所に指を這わされる。過去に男を受け入れる快感を知ったその場所は、彼の指を難なく呑み込む。 「あ、や、んん……っ」 　中で指を動かされると、くちゅくちゅと淫猥な音が発せられ、それがまた、狭山の興奮を酷く掻き立てる。 「も、イかせて……っ」 　快感ではあるものの、直接性器への刺激が与えられないままでは、達することはできない。イきたいのにイけないもどかしさに、身体がおかしくなりそうだ。 「まだ駄目だ。……イくなら、一緒にイきたいだろ」 　相沢が、カチャカチャと自身のズボンのベルトを外した。そこから既に勃起したものが取り出されるのが、狭山の視界に入る。 　＿＿先輩、勃ってる……。 　つまり、相沢は自分とのこの行為に、興奮しているということだ。それはまるで、好きな人が自分の存在を受け入れてくれるのを意味するようにも思えて……、狭山はそれがどうしようもなく嬉しかった。身体の芯からほんのりと湧き上がってくる幸福感に、頬が紅潮する。 「ん、ぁっ」 　熱い切っ先が、狭山の奥まった入口に押し当てられた。狭山は身構えて挿入を待ったが、相沢はなかなかそれをしない。先端を少し押し入れられたかと思ったら、直ぐに腰を引いてしまう。そんな風に狭山に刺激を与え、相沢は狭山をじりじりと焦らすのだ。 　＿＿早く、はやく挿れてほしい。その熱で、奥まで……今だけ、自分を相沢のものにしてほしい。 　狭山は最初こそもどかしさに唇を噛んで我慢していたが、直ぐにそれもできなくなったように、いやらしく腰を揺らし始めた。 「せ、んぱい、……っ」 　涙で一杯になった瞳で、相沢を見る。云いたいことは分かっているであろうに、彼はどうしたんだい、ととぼけて首を傾げた。 「……っ、も、入れてください……っ」 　限界まで焦らされた狭山は、羞恥を捨て、普段なら口が裂けても云えないであろう欲求を口にした。瞳に収まりきらなくなった涙が一筋、彼のこめかみを伝う。 「せっかちだね、君は」 　そんな狭山の様子に、相沢は維持悪く口角を上げた。普段は見せないその表情に、意地悪な台詞に、腰の奥がぞくぞくと戦慄く。 「おねがっ、は、やく……っ」 　はやく、早く満たされたい。必死に訴える狭山に、相沢は甘い溜め息をひとつ吐くと、 「まったく、仕方ないな。＿＿ほら、力を抜いて」 　涎を垂らした彼の唇に軽いキスを落として、狭山の後孔に自身の熱をゆっくりと押し進めた。