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是正滅法・よ

  「部室にいきますよ。今日が夏休み最後の部活なんですから」 こうみえてもセンパイは僕の入っている弓道部の部長で、多大な功績を残している。そういう僕も及ばずながら、ソレなりの功績を残していた。個人戦では準優勝、団体戦では優勝をしている。 「鳴海くん、全国大会が終わったばっかりなんだよ。少しは肩の力抜こうよ?」 さっきのアレとはまったく打ってかわって、センパイは面倒臭そうにそういう。そう、彼が熱心に僕の進行を邪魔していた理由のひとつがコレである。 「ダメです。秋には新人戦があるでしょう?副部長から部長に昇格したのですから、もう少しヤル気をだしてください」 「そういってもね。俺は成績だけがいいだけのだらけた部員なんだ。いまさら、ヤル気をだしてもキモいだけだよ?」 そういうセンパイは僕の掴んだ腕から逃げるようにして、僕の手を振り切った。そして。 「ん~そうだね。こんど、俺とデートをしてくれるっていうなら、ついていってあげてもイイんだけど」 どう?と僕の腕に腕を絡ませて、俺にはこっちの方がしっくりとくるというのだ。変なところで乙女チックなセンパイは、どこまでもおちょけていてまったく掴みどころがなかった。 「結城くん、あまりなるを困らせないでください。そういう態度を取るのでしたら、私も部室までお供しますけど?」 元生徒会長だけあって、高坂さんの言葉には重みがある。だからといって、高坂さんに部室まで足を運んで貰うと、教室で待っててといった意味がまったくなくなってしまう。 「高坂さん、自分の立場が解っていますか?三年のこの時期といえば、模試です!いち秒足りともムダにできないのですよ!」 僕のかわりにそう高坂さんに熱弁してくれるセンパイだけど、その魂胆は解っている。 「センパイ、逃げようとしても無駄ですよ。ほら腕は組んだままにしてあげますから、さぁいきますよ」 僕は絡めてきた腕をわし掴んで引きずるようにセンパイを引っ張る。こういう強引さは僕も負けてはいない。 「ソレでは、のちほど」 高坂さんに頭をひとつ下げて僕はセンパイを引きずりながら、部室に向かった。その先でなん人かの人に冷やかされたのはいうまでもないけど、部室に辿りつく前にセンパイに逃げられたことはいっておこう。  

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