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第2話
「零、好きだよ」
「天音くん、好き」
頬を手挟む。影が重なって唇が触れた。鼓動が激しく高鳴っている。甘いキスなら何度もしてきたけれど、今日のキスは意味が違う気がした。この先へ進みたい意志を感じて、
ドキドキが鳴り止まない。
角度を変えて啄む。
息継ぎの合間にも、天音は好きだと言葉を繰返す。キスに応えるのが精一杯で、言葉を返せない。ゆっくりともつれ合いながら、ベッドに沈むその瞬間、天音の瞳が、滴を射抜いた。
子供じゃなくて、男の人の顔だと、と思った。
もっと、彼を知りたい。自分を知ってほしいと欲張りに思いながら、キスを受ける。
絡む舌が、熱情を暴く。
「ん……っふ」
「滴は、可愛いな」
ぺろぺろと唇を舐められて、顔が火照った。
天音の唇は、炎と化していて、天音を燃やしつくそうとする。
「可愛くないよ……っ」
「可愛いの」
髪をくしゃくしゃにかき混ぜられる。
顎をつかみ、荒っぽくキスを奪われたら、
もうどうにでもしてと心が、急き立てる。
恥ずかしくて、言えるわけないけど。
キスを交わしながら、シャツのボタンを外していく。天音の指先は、性急だったけど、
導いてほしかったから、嬉しかった。
首筋を舌がたどる。
顔をそらそうとしてもゆるされなかった。
「お前を暴く俺を見てて」
ドキン、と心臓が波打った。
強引な所も、好きだなと思う。
背の高い所も、研ぎ澄まされた刃みたいに鋭い眼差しも、天音を形作る要素が、
愛しくて、仕方ない。
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