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第4話
背中を抱き込まれて、身体ごと心が震えた。
天音から伝わってくる欲情は、紛れもなく僕と同じもの。
「零……好きだ」
切羽詰まった声が鼓膜に届く。固くたくましい彼自身が、
こちらを急き立てるかのようだ。
僕の体を跨いで、シャツを脱ぎ、ズボンも脱ぐ。僕の下着を
脱がした後彼もすべてをさらけ出した。
暗闇の中ではよく見えなくて、ほっ、とする。
天音の身体が見たくないわけじゃなくて、見られたくないのだ。
「赤くなってるな」
「ふえ……っ」
「ほっぺたが、すごく熱いんだけど」
長い指が、頬をこすって離れた。びくびくっとした僕は、
掌で顔を覆う。どうせ、彼には全部気取られてるのに。
「可愛いんだよ……むかつくくらい」
愛しいと聞こえてきた気がしたのは錯覚?
腰骨をなぞる指が、敏感な場所まで届いて声が漏れた。
「あっ……触っちゃ嫌」
「触んなきゃ、進めないんだよ。それに、煽ってるだけだよ、気づけ」
「ふあ……」
天音に触れられるたび背筋から、電流が走る。
上下に擦っては離れる指先。
だんだんと速度が増していく動き。
キスされて、舌に掬い取られて、落ちた。
帰ってきたとき、頭をなでられていた。
頬にキスされて、首筋に強く歯を立てられる。
「いい? 」
どう答えれば、いいのだろう。
伝えたくて、背中にしがみついた。
ゆっくりと押し進んできた天音が、僕のナカで動きを止める。
「っ……」
「めちゃくちゃにしたくなる……」
どこまで本気かわからなくて怖くなるけど、知りたい気持ちと
伝えたい気持ちのほうが大きかった。
天音の頬に手を伸ばす。
「来て……」
「無邪気に、要求するんだな」
「あっ……! 」
強く確かな感触が奥まで届く。
ず、と押し入っては抜け出る動きを繰り返される。
痛みより、気持ちよさのほうが強くなるまで時間は
かからなかった。ぶつかってくる肉欲が、
限界まで、僕をさらっては引き戻す。
あんまり変な声を出したくなくて指を噛んだけど、
声は堪えきれなくなっていく。
「く……っ」
「天音……くん」
せつなげな声に、名を呼んだ。
(大好きだよ……大好き)
突き上げられ、喉の奥からかすれた声が出る。
傷ついた指先をやさしく舌が癒してくれていた。
「零……声を聞かせてくれていいんだよ」
甘い声に導かれたら、鳴いてしまう。
天音の思うがままに操られて、声を上げて腰を揺らした。
「いい……お前、最高だな」
「何言って……天音くんが大好きなだけだよ」
「それが、感じ取れるよ」
揺さぶられる。噛みつかれた頂から、下腹に伝わるしびれ。
舌を絡めたキスをしながら、愛をかわし続けた。
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