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第9話
ディスプレイで見た乙女仕様の部屋は、実際に入ってみると
物珍しくて、天音を置いて部屋を探索した。
リボンとフリルがめいっぱい飾られたピンクのベッドは圧巻だし、
お風呂には猫足のついたバスタブと、何だか怪しい椅子。
「天音くん、あの椅子、形が変なんだけど……」
「使ってみたらわかる」
くっ、と喉を笑う天音は、ぽん、ぽんとベッドに手招きした。
彼の隣に座ると二人分の体重でベッドが沈んだ。
「……ぶっちゃけお前を傷つけまくったのは俺だろ。
好きだからって際限なく求めて壊す勢いだった。
それなのに、優しいから何も気にしてない風にまた懐いてきた。
どうして、そんなに無防備なんだ?」
いきなりあの頃の話をされてドキッとした。
「……天音くんを怖く思ったこともあったよ。
でもさ、よく考えたらそこまで気遣ってないわけじゃなかったよね。
きちんとゴムだってつけてたし、それはお互いを守るためでしょ」
「……それくらいはエチケットだから」
天音くんが手を握ってくる。
「天音くんは欲情のみのキスはできるの?
キスって好きって気持ちがあってるするもんじゃない」
「……お前は純粋だなあ」
がばっ、と抱きつかれてそのまま押し倒される。
見下ろしてくる瞳をにらみ据えた。
「壊せばいいじゃない。
壊せるものならいくらでも」
「……挑発してんじゃねぇよ」
「っん……ふぁっ」
激しく舌を出し入れされ、くらくらする。
キャンパスの中のキスよりもっと熱くて
大胆な舌は僕を翻弄し、これからを予感させる動きをしていた。
荒い息を紡ぐ。
枕の側で投げ出した腕はシーツを掴む。
「その目、やばい」
シャツが、少し乱暴にはだけられ肌が露わになる。
照明の下では何も隠せない。
首筋に舌を滑らせ、歯が立てられる。
「んっ……」
チクッ、としたのはわずかな瞬間でじわりとした快感が背筋を伝う。
首筋から鎖骨、胸元に舌が這いまわりキスを落していく。
「だ、だめだって。見えちゃうところは」
「そんなこと言う余裕があんの?」
「っ……」
長い指が胸のいただきをつまみ擦った。
腰が勝手に持ち上がる。
初めてではなく何度も抱き合っていたからこそ、
快感を思い出すのは簡単だった。
久しぶりだから、度合いも強くて怖いくらい。
「お前さ、一人でしてた?」
耳元で囁かれ、びくっとした。
「……思い出しながら」
「正直だな。俺は、妄想でお前を犯したぜ」
「そ、そんなところに息をかけながら言うなよ!」
胸のいただきに息が触れて、ぞわぞわっとなった。
目をそらそうとしても許されない。
足を動かしたら、熱くかたいそれに触れた。
ぶるぶると震えて顔を横に振る。
「真っ赤じゃん」
「天音くんが、やらしいから」
「じゃ、もうやめる?」
腰を押しつけながら囁かれる。
挑発すんなよ!
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