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第2話
「すごく取れたな!はるちゃん」
「でも、こんなに持って帰ったらまた怒られちゃうよ」
「そうだな、少しだけ逃すか?」
「うん!」
2人でいつも10匹以上は虫カゴに蝉を入れていた。
家に持ち帰ると必ず母親に怒られて逃すはめになったのだ。
あの日は何故か逃がさないとと思って蝉を虫カゴから数匹取り出すことにしたんだ。
取り出す時に数匹しか鳴いていなかった蝉達が一斉に鳴き始めた。
それに驚いた俺達2人は手から虫かごを放してしまい地面へと落としたのだ。
せっかく捕まえた蝉達は四方八方へと飛んで逃げて行った。
俺はその様子を何も出来ずに眺めていると不意に目の前にはるちゃんが立ったのだ。
「はるちゃん?」
「好き!かぐちゃん」
「うん!俺もはるちゃんは好きだよ」
俺ははるちゃんが友達として好きだと言っていると思いそう答えたが違っていたんだ。
うるさく鳴き続ける蝉の声。
気づいたら俺の唇にはるちゃんの唇が押し当てられていた。
凄くうるさく鳴き続けていた蝉達が一斉に鳴くのをやめた。
俺は気づいたら1番大切な友達を突き飛ばしていた。
はるちゃんは地面に尻餅をついて俺を見上げている。
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