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第3話
「きもちわり!!はるちゃんなんか大っ嫌いだぁ〜っっ!!」
「あっ・・・」
はるちゃんは何か言いかけたけれど下唇をぎゅっと噛んで下を向いてしまった。
俺は自分の虫籠を手に取ると走って家へと帰った。
はるちゃんに唇を押し当てられてビックリしてあんな事を言ってしまったけれど俺は嫌じゃなかった。
家に帰る途中で自分の気持ちに気づいてしまったんだ。
俺もはるちゃんが好きだってはるちゃんと同じ様に好きなんだという事。
そして家に着く頃には突き飛ばしてあんな酷い事を言ったのを後悔した。
もう一度、あの場所に戻ればはるちゃんは居るだろうか?
玄関で佇んで考えていた。
「はるちゃんにあやまろう。ちゃんと気持ちを伝えなきゃ!」
俺は決心してはるちゃんを突き飛ばした場所まで全力で走った。
走って、走って、走って途中転んで両膝と手の平を擦りむいたが気にもせず俺は走った。
ようやくはるちゃんを突き飛ばした場所に辿り着いたがそこには、はるちゃんの姿は無くて虚しく虫籠が転がっていた。
新しく買って貰ったと言っていた虫籠をはるちゃんは置いて帰ってしまっていたんだ。
俺は虫籠を手に取ると1匹だけ逃げれなくて鳴いている蝉を籠から取り出すと空へと放った。
「遠くに行ってもう捕まらないようになセミさん」
明日、学校へ行ったらはるちゃんに伝えよう。
だがはるちゃんに俺の気持ちも伝えることが出来ず新しい虫籠も返せないまま俺の手元に今でもある。
今でもはるちゃんに謝りたい。
そして俺は蝉がなく夏はるちゃんの事を忘れられずにいる。
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