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第6話

「俺ですか?」 「はい!お店で見かけて話をしたかったんです」 「話したかった?」 「えっと、お時間あるならどこかお店に入って呑み直しませんか?」 そう言って笑う男性の顔は昔のはるちゃんを思い出させる。 きっと大人になったはるちゃんはこんな感じなんだろうか? 「ダメですか?」 首を横に傾げて不安そうに見てくる瞳は本当にはるちゃんに似ている。 こんな所にはるちゃんが居る訳がないしあんな別れかたしたんだ会えたとしても俺を嫌っているかもしれない。 「いいよ。家近くだから俺の家で呑み直すか?」 「えっ?」 「無理にとは言わない」 男性は少し驚いた顔をしたが数秒後には柔らかく笑ってコクリと頷いた。 本当に1つ1つの仕草や話し方がはるちゃんを思い出させて俺の胸がザワつき始める。 今だけこの男性にはるちゃんを重ねて観ていて良いだろうか? フッとそんな考えが頭を過ぎった。 「僕、早瀬悠(はやせはる)といいます。歳は今年で26歳になります」 はる・・・。 苗字が違うが下の名前が同じで雰囲気がはるちゃんに似ている。 そして俺の理性は失われしまった。 人気の無い裏路地に早瀬悠と名乗った男を引きづり混んだ。 だが早瀬悠は抵抗しないで俺の腕の中で大人しくしていた。

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