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第8話
俺は力づくで早瀬悠を腕の中に引き寄せて強く抱きしめた。
通行人は疎らだがきっと俺達を見ながら通り過ぎているかもしれない。
けれどそんな事はどうでもいいんだ。
早瀬悠が笑ってくれるならどんな事でも出来る。
こんな気持ちにさせられたのは、はるちゃん以外いなかった。
「ずるい・・・・・」
早瀬は俺の胸に顔を埋めて小さな声で呟き逃げれないと諦めたのか抵抗しなくなっていた。
「ごめん、突き飛ばして本当にごめん」
俺は早瀬に謝っているのか昔の事を思い出してココにいないはるちゃんに謝っているのか分からなくなっていた。
だが腕の中ある温もりは早瀬のであってはるちゃんのでないのは分かっている。
けれどはるちゃんに謝りたい。
早瀬に謝れたようにちゃんとはるちゃんに会ってあの時の事を謝りたい。
「僕・・・言わなきゃ・・・本当の事」
「本当の事?」
「うん、だから家に行っていいかな?」
ギュッと俺の背中に回した腕に力が入ると早瀬の身体は少しだけ震えていた。
俺は軽く早瀬の髪にキスをすると逃げれない様に指を絡めて手を繋いで歩き出した。
もうこの時間は帰宅途中の道には人は居ない。
人がいても離したくないから手は繋いで歩いただろうな。
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