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第10話

「ごめん。大丈夫だから・・・かぐちゃん」 「わかった。こっちに座ろう」 俺は早瀬を立たせてゆっくりとソファに座らせると手に持っていた虫籠を返してもらおうとした。 「かぐちゃん、まだ気づいてくれないの?」 虫籠をギュッと握りしめて涙目で必死に訴える早瀬。 そうださっきから早瀬は俺を『かぐちゃん』と呼んでいる。 『かぐちゃん』と呼ぶのはただ1人だけだ。 「はるちゃん?」 「うん、そうだよ。かぐちゃん」 「えっ、本当に!はるちゃん?」 「うん、色々あって苗字が変わったんだよ。本当はかぐちゃんに名乗るつもりはなかった。けど虫籠を見たら・・・あっ!かぐちゃん?」 俺は話し終わる前にはるちゃんを押し倒してしまった。 複雑な顔をして俺を見ているはるちゃん。 何か言わなきゃいけない。 「ごめん」 「それは、何に対してのごめんなんだい?」 「その・・・色々とごめん」 「うん、でっ、かぐちゃんはこれからどうしたいの?僕とエッチな事がしたいの?」 エッチな事・・。 それはしたいがそれより先に伝えないといけない事がある。 そう、ちゃんと伝えないと前に進めてはダメだ。

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