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3-4 焔の花紋に触れる唇

 誘惑は散々に俺を苦しめる。物理的にも出してしまったほうが楽なのは分かっている。ここまで火がついたなら、後は落ちるばかりだ。  それでも、俺は伸びそうな手を理性の欠片を集めて我慢している。コイツの前で自分で扱くなんて、絶対にしたくはなかった。 「それにしても、気持ちがいいはずなのにイカないのですね? 確か、癖になるほどに気持ちがいいのでしょ?」  俺が前を散々に腫らしているだけで溢していないことに、コイツは気づいたらしい。最後まで気づかないで貰った方がよかったが、俺はもう動けない。  息を吐きながら、時折襲う快楽に呻き、身を縮ませるしかない。 「それに、熱も逃げ切れていませんね。大分花は消えたのに…」  言いながら、ランセルは俺の背に触れた。その瞬間、俺は我慢出来ない声を上げた。背骨の、ほぼ腰の上に大きく咲いた花は一番に熱をため込んでいる。  ランセルはそれに気づいて、俺の体を反転させた。 「おや、これはまた! なんて綺麗な…」 「やめ…」  怖かった。そこに直接流れる刺激があまりに強い事は想像ができる。しかも腰の上なんて、ほぼ直結だ。 「あぁ、これだとまるで襲っているようですね」  うっとりと言って、ランセルの手が俺の前に回る。腰を突き出し浮かせて膝立ちにさせられ、頭は枕に突っ伏している。肌に触れるその感触だけで、俺は悪い予感しかしていない。 「やめろ…はぁ、止めて…」  そこだけは、ダメだ…。  唇が触れる。そしてランセルの手が俺の前を僅かに上下に撫で上げ、同時に最後の蜜を吸い上げた。 「――――――!」  背骨を走る電流のような熱と痛みと快楽に、声が上がったのかも分からないまま俺の意識は遮断された。切り離されたように、腰をビクンビクンと跳ね上げながら熱を吐き出している。  今までにない事だ。落ちているはずなのに、体の反射だけはしばらく感じていた。それがいつまでも止まらない。  壊れたみたいに体が反応だけをして、俺はそのまま暗い中に落ちていった。

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