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第3話 入れ替わった蒼介&篠 ※

「なんでこんなことになってるんだよ? 元に戻せよ!」 (しの)は僕の部屋に入るなり声をあげた。蒼介(そうすけ)と篠の体が入れ替わったのは、偶然出会った魔法使いの弟子の練習相手として魔法をかけてもらったからだ。 「篠と仲直りできますように」 と願ったらなぜかこうなった。 失敗なのかと思った。しかしこれはこれで面白いじゃないかと蒼介は思う。でも篠は 「なんだよ、俺がお前になってどうするんだよ。このままじゃ……」 と、不満そうで不安そうだ。 「このままじゃ不満? 僕はいいよ、篠のこと全部好きだから。それとも僕の体は嫌?」 「……っ! ちがう、そんなんじゃない……」 蒼介は自分の姿に変わり背の高くなった篠を見上げると、俯いて、爪が食い込むほど握りしめている手を取りそのまま引き寄せ抱きしめた。 「なにが嫌なの? ちゃんと言葉にして言って。なに言われても嫌いになったりしないよ?」 「……う……あっ、ちがっ……」 「言葉にできないならできるまで待つから」 蒼介の黒くてハリのある髪を撫でながら顔を見上げると、篠は蒼介の顔で真っ赤になりながら更に俯いて 「……このままでお前は…いいのかよ」 「ダメな理由がわからない。何かあるなら言って?」 篠は自分の顔をしている蒼介の顔をチラッと見て、また目をそらした。 篠の姿の蒼介は、赤くなった耳をそっと唇で挟んでみる。 「だ か ら!! こういうことできるのかよ、お前からしたら自分の体だろ? 気持ち悪くないのかよ!」 といって蒼介の体の篠は両手で胸を押し返した。 「なんで?僕は僕の体の気持ちいいところ知ってるから大丈夫だよ。ほら、ここ。こうすると気持ちいいだろ?」 蒼介はうなじから襟足に手を差し入れそのままゆっくり中指と薬指を背骨に沿ってつたわせながら撫で下ろす。いつも篠が無意識だろうけどする動き。これだけでスイッチが入るくらいゾクゾクするはずだ。 「……っ……そ、そんなの俺だって知ってる」 篠は真っ赤になった蒼介の顔で、篠の顔をした蒼介のまぶたに唇をそっと押し付けながら右手で首筋に触れそのまま鎖骨までなぞり、シャツのボタンを二つ外して右胸の小さな粒を摘んだ。 蒼介は 篠の顔でうっとりと見つめ返した。 「あ……ね、大丈夫でしょ……気持ちいいこと……できる……」 篠は自分の顔で身を任せてくる蒼介のまぶたや鼻先や頰に唇を当てながらシャツのボタンを全部外しソファにそっと寝かせて両手を顔の横についた。 「このまま俺が突っ込んでいいのかよ……お前がいつもやるみたいにやっていいのかよ……」 「して。僕は篠の体で篠の感じるように感じてみたいなぁ」 蒼介は、自分の姿をした篠のジーンズ越しの股間を膝で軽くつつきながら首に手を回し引き寄せて唇を突き出した。 いつも篠がする、唇をかわいく尖らせる様子を想像して真似をしてみると、その唇をアイスクリームを舐めるように舐め回し舌がぐるりと口の中を探るように入ってきた。 蒼介は(僕がいつもするのと同じだ)と、思ってそっと舌を伸ばすと絡めながらキュッと吸い付かれじわりとした快感が全身に走った。息が詰まって両手で篠の胸を押したけれど思った以上に力の差があって動かない。 蒼介の姿をした篠は体を起こしジーンズのボタンを外しながら、自分の顔で目を細める蒼介を見下ろした。 「自分にされてる感じはどうなんだよ。気持ちいいのか?」 「篠の体だと思うとすごく興奮する。ねぇ、僕も脱いでいい?」 そう言いながらジーンズのボタンを外すと、蒼介の姿の篠に手際よくボクサーパンツごと脱がされ、篠もジーンズを脱ぎ捨てるとソファの横にひざまずいて蒼介の首に手を回し 「お前がそんなこと言うから俺もしたくなるじゃん。でも、俺上手くできるかな…」 「したくなったんでしょ、だったら好きにしていいよ。それとも僕が入れるほうがいい?」 蒼介は自分の体に篠のものを入れるなんて考えてもみなかったし、初めてで急に入るのかなんとなく心配だったけれど、「上手くできるかな」なんて言われるとどっちでもいいから満足させてやりたいと思った。 「……っ! そんなのどっちでもいい!」 篠は勢いのまま唇を強く押し付け舌を割り入れると口中を舐め回し舌を吸い、交わる液を溢れさす。胸の粒を指先で摘み、もう片方の手は後を探っていた。 いつの間にか篠の体の蕾にはぬるぬると指を入れられている。心は篠だけど蒼介の体は篠の体を覚えていて、ゆるりと体を溶かし意識をふわふわにさせることは簡単だったらしい。 篠は蒼介の体で、篠の体の蒼介に入っていく。 初めて体の中に入ってくる男の感覚は、目の奥から胸から下腹から力がこもって光がやってきて、圧迫から逃げたいけど逃げたくなくて。 そんな篠の体の感覚を受けた蒼介は 「だめ……もっと……あーー!気持ちいい……」 なんて口から出ている。(これ、僕が気持ちいいのかそれとも彼の体が気持ちいいの? どっちなのだろう?)と誰のものかわからない快楽の中で考えていた。 「俺、蒼介のことずっと見ていたいんだよ! 俺の顔じゃなくてお前の顔見て気持ちよくなりたいんだよ、篠の髪は柔らかくてフワフワだって言ってくれよ。蒼介に戻って……。 なぁ……この体なんで勝手に動くの? 俺……蒼介に入れて欲しいのに、顔見て好きだって言いたいのに、ごめんて……言いたいのに!! なんで俺が入れてんの……」 自分の声で聞く篠の思い。 蒼介は篠のしなやかな白い体で、ソファの背もたれに手をつきお尻を突きだしたり彼の上に向かい合わせ座らされたりした。体は力が入らなくなるほど気持ちよく揺さぶられて意識はいつの間にか遠くの方へ行ってしまった。 蒼介は頰に当たる柔らかい髪の感覚で目を覚ました。 いつのまにか眠ってしまったらしい。 横を見ると、篠が自分の腕の中ですうすうと寝息をたてていた。 「起きたらなんていうのかな…」 フフフと小さく笑いながら、元の体に戻った蒼介は柔らかな猫っ毛をそっと撫でた。

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