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第2話 ショパンとジャズ

「子供の頃は上手に弾けるだけで褒められてた。コンクールにも何度も入賞したし、 楽譜の記号通りに演奏して難しい曲も何度か練習すればそれなりに弾けるようになった。 でもそれじゃ駄目なんだよ。 パソコンで作られるピアノ音と一緒なんだって解って。 でもどう直せばいいのかわからなくて、そんな時ペルソナさんの動画サイト見たんだ。 この人は自分と違う視点で演奏してるってすぐにわかった。 曲ごとにどうしてこんなに違った雰囲気が出せるんだろうって不思議だった。 忠実に鍵盤を叩いて決してアレンジしているわけじゃないのに、とても自由でオリジナルって感じがしたんだ。 まさかペルソナさんがこんな近くにいるなんて思わなくて。 だからどうやって弾いてるかコツみたいなものだけでも教えてほしいんだ。 お願いします!!!」 「いや、何言ってるかわかんねぇよ」  興奮して捲し立てる様にしゃべる真木多衣良に押されて戸惑ってしまった。 プロを目指すピアニストに自分の動画サイトを褒められるとは思わなかった。 嬉しさを隠すのに必死に耐えた。握手して抱きしめたいくらいだ。 急に学ラン姿の真木多衣良が可愛く見える。 「俺は絶対音感じゃない。異常な可聴音域障害なんだよ」 「障害?」  真木多衣良は少し不安そうな表情を浮かべた。 「通常の人が聞き取れる音域より数倍聞こえちゃうっている異常体質なの」 「何それ、超すげーじゃん」    真木多衣良がぱっと目を輝かせた。それを見ると思わず鼻で笑ってしまう。 「こっちは、おかげで生きるのに一苦労してんだよ」

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