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第5話 Christmas Eve Jazz session
クリスマス・イヴ――。
寒空の中外はどんよりと曇り、今にも雪が降ってきそうだった。
街はイルミネーションで輝き、聞き覚えのあるクリスマスソングが包み込んだ。
この元ジャズ喫茶店は俺が今までに見たことのない賑わいで活気に溢れていた。
客層は三十代からマスターの知人が多いせいか年配客の姿が半分ほどになった。
コアなジャズファンから恐らく付き合いできたような若いカップルも数組おり、店内はたちまち満席となった。
立ち見客も出たくらいだ。
急遽二階にある簡易的な椅子も下ろし、俺はマスターの代わりにカウンターに立ち、ウェルカムドリンクを振るまい、対応に当たった。
「隼人、今日はありがとう。この店がこんなに満杯になるのは久しぶりだ」
「夜はこれからですよマスター、今日は個人的なファンとしてマスターのパフォーマンスに期待しているんですから」
俺はマスターの真似をしてウィンクを飛ばした。
どうやら俺ははしゃいでいるらしい。
マスターは「O.K!! Let,s Go!!」と俺と硬い握手をした。
開演五分前。
間も無くジャズセッションが始まる。
当日の衣装は黒のパンツと白地のワイシャツで統一した。
マスターとベースのブラットがさらに黒の蝶ネクタイで一気にそれらしく見えたが、恰幅のいい二人には首元が苦しそうだ。
真木多衣良の姿が見えない。
俺は耳を澄まし二階へと駆け上がった。
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