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第22話

……はぁ、はぁ、はぁ、 二度目は……躊躇が薄れる分、容易い。 加えて衝動的なら、尚更── 指先に力を入れ、骨と皮だけのような白川の首を絞める。 「……!」 ふわ…… 浮かんだ黄緑色の光が、僕と白川の間をゆっくり舞い飛ぶ。白川の顔に掛かった僕の黒い影を、削り取りながら。 そして、浮き上がっていく。美しい曲線の頬や鼻筋。 淡い光を取り込んだ……薄灰色の瞳。 「………だったら、」 思わず、緩めてしまった手。 頸動脈から感じる、白川の鼓動。 「犯行の順番が……逆だよ」 スル…… 小枝のように折れてしまいそうな程の細い指が、自身の甚平の紐を解く。 妖しげに微笑む唇。 合わせ目の隙間に指先を差し込み、つうっと撫で上げ、浮き出た鎖骨をなぞる。 その誘うような仕草は、何とも妖艶で。 こんな状況下でも、白川の色気にそそられてしまい。ドクドクと脈打ち、欲望に飲み込まれそうになる。 「犯人は……犯した後、殺したんだよ」 「──!」 その言葉に、思わず手を退ける。 身体中の穴という穴から汗が吹き出し、肌の上を悪寒が走る。 「………どうしたの? 僕を、犯すんでしょ……?」 「やめろッ!!」 挑発だ── 挑発して、僕の反応を楽しんでいるんだ。 甚平の合わせ目をそっと摘まみ上げる、白川の指先。捲り上げようとするその手を阻止しようと、咄嗟に白川の手首を掴む。 「……」 異常な細さ。 首を絞める時も感じたが、このまま強く握ったら、骨が折れてしまいそうだ。 こんな、弱々しい身体の何処に……男らしさがあるというのだろう。 女性を力尽くで思い通りにする、男の力が。 「……」 少しずつ冷静さを取り戻すと、置かれた状況に絶句する。 ついカッとなって、感情に押し流されるまま行動を起こしてしまった。 けど。麻生さんを襲ったのが白川だなんて、どうして断定してしまったんだろう。単なる僕の、憶測に過ぎないのに。 なのに僕は──白川を殺そうとした。 その上……白川に…… 「……っ、!!」 硬く、張り詰めてしまっている欲望。 これじゃあまるで…… ……暴漢の犯人、そのものじゃないか……

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