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第34話

やめろ…… 田んぼに誘い出した時の白川とは、明らかに様子が違う。 挑発的でも何でもない。 震えながら身体を縮め、ただ只管に恐怖に脅えている、普通の子供だ。 「……、!」 助けなくちゃ。 今すぐ、助けないと。 ……なのに……全然近付けない。 まるで、僕の周りだけアクリル板で仕切られているかのよう。 この半畳もない領域から、向こう側に行けない…… 「……」 ガッ── 「、ぅ……」 床に捩じ伏せ、押さえ込んだ白川の上に教師が跨ぐ。 「勿体ぶるなっ……!」 「………ゃ、」 拒絶する白川の両手首を捕まえ、床に縫い付ける。 「小山内には、許したんだろ? ……ん? どうなんだよ、光くん。 二人でコソコソ逢い引きして……乳繰り合っていたんだろ?」 「──!」 内腿を擦り合わせるようにして足をばたつかせ、必死に逃げようとする白川の動きが、止まる。 「……」 驚きと悲しみに満ちた瞳。 その目尻から溢れ伝う、一筋の涙。 「知ってるよ。黒川に、男の誘い方まで調教されたんだよな」 「……そん、な、……、んっ」 言い掛けた白川の口が、教師の唇で塞がれる。 と同時に、服の裾から滑り込む、教師の手── ぐちゅ、ぢゅ、…… 静かな小屋の中に響く、淫らな水音。 ランタンの淡い光が、抵抗を止めた白川の柔肌を微かに照らす。 剥き出された、胸の小さな突起。そこに這われる、教師の舌。 「………せん、せ」 掠れた、白川の声。 もう、全てを諦めてしまったように。 「……約束の、時間に……なったら…… 小山内先生に、……会わせて……」 「……」 「お願い……先生……」 ぴく…… 動きを止めた教師が、じっとしたまま押し黙る。 それに不安を感じたらしい白川が、天井から教師へと、ゆっくり視線を動かす。 「小山内なら、来ないよ」 ──え…… ククク…… 突然肩を大きく震わせ、教師が不気味に笑う。 「君が、この村に来ている事も知らない。いや、知る由もない」 「……」 「だって、あの手紙を荷物に忍ばせたのは──この僕なんだから」

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