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「いやいやいや、まさか冗談でしょ?」
「ほんまやって。お前がぺろぺろしてる間にボタン押しまくったけどうんともすんとも言わんねん。」
部屋の電気を消しているせいでリモコンの画面は見えない。でも俺がいくらボタンを押しまくってもいつもみたいにエアコンの起動ランプはつかない。
「えぇ…。今日熱帯夜とか言ってなかったっけ。」
「夜30℃超えるらしいとは聞いた。」
「うえぇ、むりぃ…。」
「この中でヤったら死ぬで。」
「ええ…でも、シたい。」
「俺はこのクッソ暑い中で風呂入った直後に必要以上に汁まみれになりたないわ。おやすみ。」
ベッドに無造作に置いてあるタオルケットを抱き込んで康太が俺に背を向ける。
「え、嘘、まじで?ほんとに?」
「ほんまやー。」
臨戦状態のマイサンはどうすればいいのさ。
「窓開ければ涼しいよ、たぶん。」
カラリとアルミサッシの窓を開けると閉め切っていたときよりは幾分か心地い風が入ってくる。
この季節らしいちょっと爽やかなにおいがするなかでとか、最高に夏っぽい
「隣近所にオープンアンアンしとうないわ。」
月の明かりにジト目がうつる。
確かに・・・。ご近所の皆さんには俺の職業のことに関してで緘口令を甘んじて受けてもらっている。その上でさらに
「人気若手声優が同棲中の男性と真夜中に堂々と窓開けっぱなしでギシアンしてます。」
っていうのを黙っててほしいっていうのは…さすがに……大分、ないわぁ。
俺が一般人でも嫌になると思う。うん、窓開けてはなし。
でも、そうすると今日もお預け・・・?
最近は康太の所属する会社が一部上場するとかで、いつも忙しいのに倍々の忙しさだった。
俺達の業界は朝10時からの世界だから生活リズムがちょっとずつズレて、二人でいる時間ってそんなに多くない。
なので、いたすのも二か月ぶりとかなのだけれども……。
「どうしてもダメ?」
「嫌や。」
俺の愛しい恋人はうなづいてくれません・・・くすん。
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