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第5話 ペルソナの能力
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「隼人には大きな借りができてしまってね、それから彼には二階にあるピアノを無料で貸しているってわけさ」
「警察には?」
そう聞くと、マスターは首を横に振った。
「盗みの指示を出していたのがカミーラの母親だったんだ。家族はカミーラが送るお金で生計を立てて暮らしているようだった。彼女の国では貧困に嘆く人がまだまだ多いからね」
「そうだったんですか」
表情は繕えても人の心拍数は誤魔化せない。
警察が脈や筋肉の動き、呼吸の仕方でそれを判断するとかテレビで見たことがあるけど。
隼人さんには彼女の不慣れな窃盗や電話越しの会話が全部聞こえていたんだ。
「隼人が嘘を見抜いたというよりは、カミーラは隼人を特別に思っていたんじゃないかな。人見知りの彼女が唯一できた日本の友達だったから。だから最後まで嘘をつけなかったのかもしれない。」
マスターと目が合う。
まるで自分のことを見透かされたような気がして思わず目を伏せた。
マスターにもそのくらいの能力があってもおかしくはない。
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