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第6話 イタズラ
僕は空風が吹く中、ドラックストアでタオルや歯磨き粉を買い、ついでに切れかけていたシャンプーの詰め替えを買って隼人さんのアパートに急ぎ足で向かった。
隼人さんがアパートに帰る頃合いに合わせて、インターフォンを押す。
「帰れ」
ドアを開けるといつも隼人さんは嫌な顔をして出迎えてくれる。
「今日はビール買ってきました」
「まあ、とりあえず上がれ」
「お邪魔しまぁす」
隼人さんは押しに弱い。マスターのいうことは大抵当たっている。
「あ、チラシ出来たんですね」
「マスターが作ったお手製チラシよりだいぶマシだろ」
「すげー、プロが作ったみたい」
クリスマスツリーの背景に白のぼかしが入りツリーが黒ベタのチラシにとても映えた綺麗なチラシだった。
白のぼかしが雪を降らしているみたいだ。
真ん中には金色でChristmasJAZZの文字がある。
「元プロだからな」
隼人さんはベッドに横たわりビールを飲みながらシャーペンを口に押し当て考え事をしていた。
メモを取りながらパソコンとにらめっこしている。
床にはA4用紙に曲の順序やテーブルの配置までが書き込められた資料が散らばっていた。
いやいや頼まれていたのに、結構本格的にやるんだなと感心してしまった。
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