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第7話 仕返し
「は、隼人さん……」
僕は隼人さんの肩を揺さぶる、身体が熱い。
「はぁ、はぁ……はっ……ヴ…ヴぇ」
え、えずいてる?僕はキョロキョロと周りを見渡す。
ミネラルウォーターの入っていたバックを引っ張るとコンビニの袋を引っ張り出し隼人さんの口元にあてがう。
「隼人さん、気持ち悪いの?吐きそう?」
返事はないまま、苦しそうに肩で息をする。
一定のリズムで息をしてくれないから怖い。すると息を吐くように力なく声を出す。
「う……うるせ……」
「は、隼人さん、起きてるの?」
隼人さんは僕のコンビニ袋を腕ごと払いのけた。
びっくりするくらい強い力で。
「だま……よ」
息を吐きながらなんとも苦しそうな掠れた叫び声に僕は身体が後ろにのけぞった。
ギシギシの歯ぎしりの音が隙間から漏れて、えずきながら息を切らし、また力一杯に両耳を塞いでいた。この人が初めて哀れんで見える。
「ねえ、隼人さん。ちょっと起きて。起きてよ」
僕の震える声が隼人さんのえずいた声と荒苦しそうな呼吸にかき消される。
僕の腕を払いのけるようにまた壁際に寝返りをし、ゴンと膝と肘をぶつける。
丸まった背中が痙攣するように震えている。
乱れる呼吸に感化されるように僕の脳内は完全にパニックになっていた。
そしてこの人はこのまま死ぬんじゃないかと頭に過ぎった。
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