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第10話 告白
「痛い?」
「い、痛くないです」
やめないで欲しくて涙目を悟られないように目を伏せる。
すると瞼の端に溜まる滴を吸うようにキスをしてきた。
「俺に嘘つくなって」
優しそうに笑う隼人さんはおでこ同士をコツンと僕に合わせた。
繋がったまま動かず、甘ったるくキスをしては快楽の衝動にかられて時折、切なそうな顔をする。
「す、好きです」
思わず口走る。隼人さんは視線を外し照れる。
「うるさい」
「えぇ」
「さっきからお前の心臓の音が、うるさい」
「そ、それは隼人さんのせいですよ」
ふふっと小さく笑うと隼人さんは僕の胸に耳を当てる。
サワサワと髪が擦れてくすぐったい。
「人の心音聞いてこんなに興奮するの初めてだな」
そう言って僕の手を取ると、自分の胸に押し当てた。
熱くなった隼人さんの左胸は振動するほどドキドキしていた。
目を合わせるとお互いしつこくキスをした。
僕らは結局、最後まで上手くできずにお互い別々に果てた。
それでも気持ちは十分に満足していた。
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