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第11話 僕たちの行き先
Jazz Morganは年内で閉店することになった。
いつまでも店はそこにあると勝手に思っていたからショックだった。
マスターは故郷であるアメリカに帰ってしまうらしい。
僕は相変わらず店を手伝いと称して遊びに行っていた。
閉店を聞きつけた常連客が名残惜しそうにコーヒーを飲みにきていて、店はジャズセッションの次の日から賑やかになっていた。
「なんでいるんだよ。」
「冬休みだもん」
もちろん隼人さんも店に通っている。
相変わらず無愛想だけど連絡のないときはいつの間にかこの店が待ち合わせ場所になっていた。
「二人とも、ここはいいから二階で遊んできたらどうだ。楽器たちも年内で手放してしまうからね」
マスターが僕たちに言うと、猛烈に寂しさがこみ上げた。
町の通りから少し離れたクセのある喫茶店。
古びた茶色の看板にはjazz Morganの文字がかすれている。
店内は圧迫感のある雰囲気に各テーブルが照らされるスポットライト。
LPレコードの代わりに埋め尽くされた本の数。
流れる音楽はジャズのみ。
そして店にぴったりなアメリカ育ちのカッコいいマスター。
カウンターを横切り二階に上がり、僕は早速ピアノを弾き始めた。
隼人さんはコーヒーを片手に僕の鍵盤さばきを眺めている。
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