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第24話

 輝夜が無言のまま家路を急ぐ。竜巳の肩を抱く手には異様に力がこもり、痛いほどであるのを振り解くこともできず、並んで歩いた。時折ちらとそのかんばせを覗き込めば、いつになく憂いを含んだ表情を浮かべていた。  竜巳も張り詰めた空気に口を開くことが出来ず、駆けおりてきた道をとぼとぼと歩く。中天に位置する太陽の木漏れ日が路を行く二人をてりつけていた。朱い紅葉がはらはらと視界の端で舞い落ちる。  竜巳はすぐさま輝夜を問い詰めたいのを堪え、手の中のぼろ布をきつく握りしめた。

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