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第67話
「おいおい待てよ、置いていくなって、一人じゃ飯も食えねえんだろ」
「いい! だいたいあんたらは俺に構いすぎなんだ!」
「いいじゃねえか、俺には兄貴分しかいなくてよ、弟が――」
竜言いかけて止まった伊織を振り返り、睥睨する。伊織はしまったとばかりに口元を押さえ、視線を彷徨わせていた。
「……すまん」
「やめろ、謝るな。輝夜もあんたも俺の兄貴――……それでいいだろ」
怒鳴りつけるように言うと、伊織は困ったような顔で頷き、竜巳の横に並んで歩き出した。
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その堅固で澄んだ心根を、心底美しいと思った。
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