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魔界の事件

「星、囚人はあの事件について認めたか」 「いいえ、陛下。それどころか黙秘を 貫き通しております」 歩を魔界に連れて来た数日後、魔界の者が 行方不明になっていた。最初は二人だったが 今日の報告では20人の行方が分からない。 「首につけている居場所探索機が全員反応 していないとなると、理由はただひとつ しかない。人間界に召喚されたんだ」 「ま、まさか。条約では召喚者はもう いないはずです」 「やつらは条約を守らなかった。我々が 監視していない事をいいことに 不正を隠していたのだろう。 しかし、何故今になって召喚する必要が あるのか理由が分からない。 星、今から人間界に行って真相を 探って欲しい。魔人とばれないよう 姿を変えよ」 「承知いたしました」 指示を出した後、陛下は人間界から届いた 報告書を見ていた。その内容は 「魔界王からの指摘に対し、人間界から 調査内容の報告をする。 まず人間界には召喚者は一人も居らず 人魔平和条約に違反していない。 よって魔人召喚事件に関与していない」 「信用出来ない話だな。召喚者に監視も ついていないのに、どうやって把握 しているのか」 人間界は魔界の者が監視する事を条約に 記載する事を拒んだ。その為、週に 一度来る報告書のみが人間界の情報を知れる 物だった。しかし、これ以上被害を広げない 為には直接人間界に行って調査する必要が あった。

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