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chapter 02[visit]
村から屋敷までの距離は遠い。僕が村を出た時は夕暮れだったのに、見上げればいつの間にか三日月お月様が顔を出していた。
当然、村外れにある幽霊屋敷は村人達から祟りがあると恐れられているため、人気なんてない。小一時間ほど獣道を進めば、間もなくして視界が開けた。
「うわ……」
思わず声を上げてしまったのは、森の中だっていうのに立派な門があったからだ。まるで中世にでも迷い込んだみたいな、そんな感じ。
「あの、すみません」
相手は幽霊かもしれないけれど、流石に黙って入るのはよくないよね。門を叩いてみたものの、中からは何の返事も返ってこない。
それどころか、村ではいつも聞こえてくる獣の遠吠えも虫の音すらもなく、シン……と静まり返っている。だから余計に恐怖心が芽生えてくるわけで――。いくら死ぬ覚悟をしてやって来ても怖いものは怖い。
ああ、カタカタ膝が笑っている。
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