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chapter 02 [enormous]

「……失礼します」  僕は口の中に溜まっている唾をごくりと飲み込んだ。軽く門を押せば、抵抗もなく不気味な音を響かせ開く。屁っ放り腰で門をくぐり抜ければ、ほどなくして洋館が見えてきた。三階建ての大きなお屋敷だ。  人が住んでいるとでも言うかのように、いくつかある窓からは明かりがほんのりと漏れていた。  外観こそ古びていて蔦が絡まっているものの、庭も幽霊屋敷と呼ばれるほど荒れてはいない。それどころかあまり雑草がないように思える。 (ひょっとして誰か手入れをしているのかな)  不思議に思いながらもドアをノックする。だけどやっぱり門の時と同じで中からの返事はない。明かりが点いているから人がいるようなのに、何も返事がないことが恐ろしい。  ああ、押し寄せてくる恐怖で心臓がドキドキ言っている。  ギシギシと軋むドアを開けると、同時に天井に飾られている立派なシャンデリアの明るい光が飛び込んできた。薄暗い場所から突然明るい場所にやって来たおかげで目がくらくらする。

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