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chapter 02 [perfume]
何度も深い瞬きを繰り返し、ようやく目がなれたところで玄関ホールを見渡せば、外観と同じくらい広かった。それにどこからだろう、甘い香りがする……。
この匂いはいったい何だろう。花のようでもあるし、お砂糖のようでもある。甘い香りは鼻孔を通って頭の中に充満する。この匂いは麻痺させるような作用でもあるのだろうか。さっきまでたしかにあった恐怖が少しずつ萎んで消えていく。この匂いを嗅いでいたら、頭がぼんやりしてくるんだ。
まるで夢の中にいるような感覚――。
身体がほわほわして、なんだか気持ちがいいの。
僕は何をどうすればいいのかさえもわからなくなった頭のまま、大きな玄関ホールで立ち往生していると、誰かが火を灯したらしい。ずっと奥の方にある螺旋階段が少しずつ明るくなっていく。
それから、足音がコツコツとゆっくり近づいてきた。
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