4 / 26

chapter 01 [midnight visitors]

 闇色のローブに身を包み、フードを深々と被っていたから容姿まではよく判らなかったみたいだけれど、声の質からして三十歳前後の男性らしい。彼は自分が例の屋敷の主人であるということを明かした後、『明日深夜零時を迎える時刻、自分の世話役をひとり寄越せ。さもなくば、村人ひとりの命を奪う』とそう言ったらしい。  これは殺人予告だ。警察に届ければいいんだろうけれど、相手は百年前から建っているお屋敷の主人で、しかも恐ろしい噂がある。呪いや災いが降りかかるのを皆恐れている。  そこで長老は泣く泣く僕の処にお願いをしに来たんだ。  なんたって僕は母親殺しの罪人だ。身体が弱かった母さんは僕が生まれるのと同時に亡くなった。僕が殺したも同然だ。  僕なんていない方が良い。父様だってきっとそう思っている。 『ウィル・リーヴィスなんて生まれてこなければ良かったのに』――って。

ともだちにシェアしよう!