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chapter 03 [male]
誰だろう。ラウンジチェアで女の人がシクシク泣いている。両手で顔を覆っているからどんな人なのかも判らない。
呼びかけても返事はなく、近づいて肩を叩いたその時――。
(ここは――)
僕は目覚めた。
真っ先に僕の視界に飛び込んできたのは天蓋付きの広いベッドだ。
ここは自分のお部屋じゃない。
(――えっと)
何が起きたんだろう。
たしか昨日、村長さんに屋敷へ行くよう頼まれて父様にお別れを告げて、それから――。ああ、そうだ。ここは例の幽霊屋敷。僕は今日から殺されるまでの間、住み込みで働くんだった。
(じゃあ、気を失う直前に見た男の人は?)
オリーブ色の目にブロンドの髪。とてもハンサムな男性。
あの人、僕、知ってる。夢の中に出てくる男の人そのままだったから。
(ううん。そんなわけないよね。きっとまたあの男の人の夢を見たんだ)
そして夢の中の出来事を現実にあったことだと思い込んだだけだ。
(それよりも僕はいったいこのお屋敷で何をすればいいんだろう)
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